La Traviata 椿姫
先々週から藤原歌劇団のオペラ公演「椿姫」の稽古が始まっています。
今回初めてオペラの現場でご一緒するマエストロ、佐藤正浩さんより依頼され
副指揮で参加しています。
演出は粟國淳さん、新国立劇場の公演「アイーダ」や研修所の公演でも
お会いしていましたが、ここまでじっくりご一緒出来るのは初めてです。
今は音楽稽古をしながら、”テーブル稽古”なるものをしています。
粟國さんが、「椿姫」の登場人物たちの性格や互いの関係性、時代背景や
音楽とテキストの結びつきなど、細かく紐解いて説明して行きながら、
歌手とディスカッションしつつ音楽稽古をして行きます。
こういうやり方は初めて見ましたが、とても興味深く、
粟國さんの説明を受けて、それぞれのアーティストが”自分自身で”考え始める事が
多くなるように思いました。
粟國さんは「椿姫」の演出は二回目(以外に少ない)との事ですが、だからこそ
変な思い込みがなく、成程・・と思われる深い読み込みに、ついついこちらも
楽譜にメモを取る毎日です。こういう現場は自分にはとても、幸せです。
一つの役を聴いて(見て)「ああ、この人(登場人物)はこういう人なんだな」と
聴衆を深い所で納得させられる歌手や役者は少ないように思います。
また、何かの演奏を聴いて「この作曲家はこんな人だったのか」と
聴衆に思わせる事が出来る指揮者も少ないと思います
(アーティスト自身が目立つ事は多々ありますが)。
そういう意味で、先日聴いた師匠
星出豊先生の第九の演奏は「ベートーヴェンはこういう人だったのかもな」
と想像しながら聴いていた自分がおり、今の時代には中々聞けない種類の
演奏だったと思います。
改めて自分の指揮・音楽への向き合い方を考えさせられました。
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